音診断

振動音響方式によるタップ切換器の新診断方法-最初の結果と実際的知識

著者: Marc Foata、Dr. Karsten Viereck、Dr. Anatoli Saveliev、Harald Hochmuth

 

要旨

負荷時タップ切換器(OLTC)の基本動作原理は、真空中または油中で接点を機械的に切り換えることにある。OLTCの動作中に生じる音響雑音と振動パターンには、タップ切換動作中の機械的、電気的なイベントのほとんどが反映される。その結果、このような振動音響パターンから、OLTC動作に関する相当量の情報を取り出すことができる。本論文では、OLTCに関する振動音響測定結果を解析し、可視化し、解釈するための新手法を紹介する。

最初に、この新手法の主な特長について簡単に述べるが、具体的には、測定手法、すなわちウェーブレット変換とパターン認識の各手法を通じたシグネチャー処理についてである。これらの手法に特有な利点は、まさに最初の測定から切換開閉器の詳細な検証が可能になるということである。タップ切換器のメーカーが持つ設計情報やタップ切換シーケンス等の情報を織り込むことで、全てのイベントについて予め定められたタイミング許容差を適用することができ、これにより切換開閉器の正常動作/異常動作を判定することが可能となる。単純な測定だけですべての動作が見られるため、傾向分析や統計比較を行わずに診断を行うことができる。単にタイミングのずれが認識できるだけでなく、予期される音響イベントの有無から、何らかのシステム異常も認識可能である。

次に、長期にわたるエージングシミュレーション試験の実験結果を示す。ここで示すのは、様々なコンポーネントのすべてについて、その多数回の動作により累加された摩耗が、明確かつ一貫性のある形でタイミングシーケンス上の時間的なずれに反映されるということである。また低温の影響についても考察し、この手法が、一般に変圧器の通常の動作温度範囲となる、幅広い温度範囲での診断が可能なことを示す。

最後に現場での事例を通じ、この新アルゴリズムに組み込まれた機能、すなわちタップ切換シーケンスや許容可能なタイミングのずれについてのOEMメーカーの知識をアルゴリズムに組み込むことで、最初の測定から直ちに診断が可能になるということを示す。

 

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