電力は発電所で発電され、送配電網を経由して消費地に届けられます。送電の際は、効率よく電力を送れるよう、変電所にて電圧の変換を行っています。
変電所で電圧の変換を担っているのが変圧器です。変圧器は鉄心と巻線で構成されており、入力側(一次側)と出力側(二次側)の巻線の巻数の比率で電圧を変換することができます。
最適な電圧となるよう巻数は設定されていますが、実際には消費地での需要が変動し、それによって電圧が変動します。需要が増えると電圧は低下し、需要が減ると電圧は上昇します。その時、消費地での電圧が適正な電圧となるよう、調整を行う必要がありますが、発電所での発電電圧を臨機応変に変えることは難しく、また発電所での調整では局所的な電圧変動に対応できません。
そこで考えられたのが、変圧器の巻数比を変更して電圧を調整できないかということでした。負荷が変動するたびに停電しては困りますので、当然ながら通電した状態のまま変圧器の巻数比の切り換えを行う必要があります。
送配電網ができ始めた18世紀中からいろいろな試みがなされましたが、巻数比を切り換えるということはその電圧差を一時的に短絡することになり、大きな電流が流れ大変な危険が伴うものでした。最終的に、Bernhard Jansen博士によって、抵抗を用いて短絡電流を抑えながら切り換えを行う「抵抗式OLTC」が発明され(1928年に特許取得)、その原理は今日に至るまで変わっていません。
切り換えたい巻数のところから接続を取り(これをタップと呼びます)、隣接するタップ間を限流抵抗器を介して切り換えていきますが、構造の異なる二つの方式があります。
一つは主接点、限流抵抗器が一体となって移動しながらタップを切り換える「タップ選択開閉器」という方式で、もう一方は、無電流状態でタップを選択する「タップ選択器」と、タップ選択器によって予め選択された回路に電流を切り換える「切換開閉器」を組み合わせた方式です。
抵抗器をリアクトルとした「リアクトル式」のOLTCも使用されています。